【B】星のない夜 ~戻らない恋~
話し合いの中で、祖父と父により、都城家と瑠璃垣の関係を悪化させないために、
俺自身の名前に泥を縫って落とすことがないように、取り決められた約束。
瑠璃垣の名声を守るため、
都城葵桜秋を都城咲空良として瑠璃垣に迎え入れる。
葵桜秋のお腹の子は、紛れもなく俺自身の子供であることに
偽りはないから。
何度も体を重ね続けた俺には自覚がないなどと、
逃げ逃れをすることなどないほどに心当たりがずっしりと圧し掛かる。
今更、葵桜秋ではなく咲空良自身を愛してしまったからと言う
俺の言い訳など通じるはずもなかった。
突然の呼び出し。
それは天国から地獄へと突き落とされた日であり、
俺自身が再び、人を信じることが出来なくなった夜。
急ピッチで進められていく婚礼の儀式をうわの空でやり過ごし、
また帰れない日々が始まった。