【B】星のない夜 ~戻らない恋~
だから見守ってくれる?
バカな私がどうしても守りたい大切な命を……。
「さっ、咲空良ちゃんお参りは終わりましたか?
久しぶりに我が家に来ませんか?」
そう言って声をかけてくれる睦樹さん。
睦樹さんの言葉に紀天は大はしゃぎ。
その夜、外泊する旨を実家にけじめとして伝えた後は、
久しぶりにゆっくりとした時間を過ごせた。
言えない妊娠。
私だけの秘密。
だけど……何も知らなくても私をそっと支えてくれる、
差し出してくれる手は感じられたから。
紀天のリクエストで川の字に眠る一夜。
無邪気な天使は知ってか知らずか、
小さな手を何時しか私のお腹に触れながら。
お腹の中に居る、この子に笑われないように
前を向いて歩いて行こう。