【B】星のない夜 ~戻らない恋~
*
ねぇ……、心【しずか】どうして……。
心【しずか】や、睦樹さん……それに紀天が
私と尊夜の居場所を作ってくれたのに……。
ちゃんと幸せになれるって思えたのに……。
心【しずか】……尊夜を守って。
紀天の弟を守ってあげて。
*
何度も何度も心の中、遺影を見つけながら
話を続ける。
『おねえちゃん、いたい いたいの とんでいけー』
ふと紀天が心配そうに私を覗き込みながら、
何度も何度も呟く。
形式的な謝罪も調書もいらない。
求めるのは我が子の無事だけ。
神様……どうか尊夜をお守りください。
そして私たち家族の傍へと無事にお返しください。