【B】星のない夜 ~戻らない恋~
だけど……俺は、
彼女の何処に惹かれていいのかもわからない。
そして近衛をどうして抱いたのかもわからない。
ただ流されている現実。
だけど近衛の存在が、今まで何人も抱いてきた女とは
同じように見えて、違うような気もして……。
俺自身もわからない迷宮に取り込まれたまま、
その時間をやり過ごしていた。
翌日、咲空良のハイヤーから着信を告げる電話。
運転手から、咲空良へと交代すると
咲空良は、俺にクリスタルホテルで会いたいと告げてきた。
邸と違ったところで会うことが出来れば、
少しは気分も変わるかもしれない。
彼女に歩み寄る努力……。
その為の一歩には、気分を変えるのもいいのかもしれない。
そう思い約束を受ける。
その夜、クリスタルホテルの中にある、最上階のもう一つの部屋。
俺専用のプライベートルームを使えるように手配する。
普段、女たちを抱く部屋とは違う
もう一つの俺の部屋。
下の部屋は隠れ家に近い部屋。
最上階の部屋は、瑠璃垣の後継者としての俺に与えられた部屋。
逢ってどうする?
俺はこの先、どうしたい?
親友の決断に対して今も俺は闇の迷宮を彷徨い続けていた。