【B】星のない夜 ~戻らない恋~
怜皇さまが立ち去った後、
咲空良の傍に近づいて、耳打ちする。
入れ替わりの約束。
二次会、挨拶程度に顔を出して
すぐに会場を後にした私は、
予約していたホテルへと向かった。
そこで先に身支度を整える。
一時間後、
咲空良が私の待つ部屋へと姿を見せた。
「早く脱ぎなさい」
咲空良が身につけていた振袖を脱がせて急いで着付ける
咲空良が知らずに結ぶのを苦戦していた帯結びも
私は知ってる。
咲空良は私の指示に従って、帯結びを仕上げていく。
メイク雰囲気すらも咲空良に変えて。
全ての仕度を終えると壁際に座り込んだ咲空良を残して、
何事もなかったように私は最上階のあの部屋へと向かった。
その日、彼も興奮していたのか何度も何度も慈しまれながら
肌を紅色に染め変えていく時間。
彼を受け止めて真っ白になる時間。
私の時の彼は行為は少し乱暴に。
咲空良との時間はじっくりと焦らして、
開発していくように。
その夜は何度も何度も快楽の海に溺れた。
今、この場で怜皇さまに抱かれ続ける私が
ありのままの私とすら思えるほどに。
彼が紡ぐ名前だけが咲空良の名だった……。
嬉しいのに……悲しさに涙が頬を伝った。