【B】星のない夜 ~戻らない恋~
「私……紀天産んで良かった……。
正直、自信なかったの。
嘘みたいな、弱音。
大学を出たばかりのまだ子供みたいな私が
子供産んでいいのかなって?
でも良かった。
紀天が私と睦樹をママとパパにしてくれた……。
咲空良も沢山秘密を抱えてる。
どうしても、道に行き詰ったら
何時でも、ここに来たらいいよ。
睦樹と話したの。
紀天が、咲空良の心の闇も晴らしてくれたらいいねーって。
私たちにとって宝物で、希望の紀天が
咲空良にとってもそう思って貰える子供になれたら
本当に幸せだねって。
紀天を咲空良にあげることなんて出来ない。
だけど、紀天の笑顔を咲空良と共有することは出来るから。」
我が子を愛おしそうに見つめながら
ゆっくりと告げられた心【しずか】の言葉。
その言葉の深さに私が気が付くのは
もっと先の未来だった。
紀天くんは暫くして心【しずか】たちが暮らす、
自宅へと帰ることが出来た。
親友の息子の笑顔が私の醜さを浄化してくれる
そんな気がした。