泣いていたのは、僕だった。~零~
秒針だけが響く部屋の中、僕はベッドに横たわる彼を見つめた。
名前は神木翔一と言うらしい。
それにしても……
まるで野良猫みたいだった。
昨日の彼の様子を思い出して、思わず笑ってしまった。
警戒心剥き出しだったな。
これから面白くなりそうだ。
さて、食べ物でも買ってこようか。
さすがにサプリメントじゃ腹は膨れないだろうし。
僕は静かに家を出た。
起きたら傷の手当てもしよう。
あの傷………
最近出来たものばかりじゃない。
古傷も目立った。
虐待ってやつか。
まぁ、どうでもいいんだけど。
深い詮索はしないほうがいい。