泣いていたのは、僕だった。~零~



ガチャッとドアが開いた。


自然と体が強ばる。



中に二人の男女が入ってきた。


「翔一……いい子にしてた?」



女が優しげに声をかけてくる。


悔しくて歯を食いしばった。


ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう…………!


「おいおい、まだ反抗的な目ぇしてるぜ?こりゃ躾が必要だな。」
「本当、仕方のない子ね。躾をするのは両親の務めだものね。」



何が両親の務めだ。

てめーらなんて、人間ですらねーよ。



「早くいい子にしねーと、な!」


強烈な蹴りが腹に入る。


「げほっ………げほっ……」
「まだそんな目ぇするのか?」


容赦ない蹴りが立て続けにいれられた。


男の気が済むと、今度は女の番。



気が済むと二人とも部屋を出ていく。



これが毎日繰り返される。



今日のような日はまだ運がいい。


酷いときには熱湯を被せられたりもする。



本当、人間じゃねーよ。



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