泣いていたのは、僕だった。~零~
当時のことを思い出しただけでも、げんなりする。
後始末は大変だった。
肩を落としつつ、真司が現在住んでいる家のインターホンを押す。
数秒して煙草を銜えた真司が顔を出した。
今ではすっかり青年だ。
「皆保警部じゃないですかぁ、お久しぶり。」
「相変わらず人をバカにしたような口振りだな。」
「生まれつきなもんで。今日は?」
「仕事の依頼。と、拾ったもんを見学に。」
ああ、と真司が口をつり上げた。
「ま、どうぞどうぞ。」
中に招かれ、ソファーに腰を下ろす。
「ほら、仕事だ。」
「どうも」
茶封筒を真司に手渡すと、中身の確認もせずにテーブルへ放置した。
「中ぐらい確認しとけよ。」
「後でね。」
「んで、何を拾ったって?」
見たところリビングには何もない。
「ビックリするよ。翔一!」
真司は隣の部屋に向かって叫んだ。