泣いていたのは、僕だった。~零~



無性に長いこの生から逃げ出したかった。


死んでしまいたかった。



それでも俺が今生きているのは、


あいつらの前で死ぬのだけは絶対に嫌だから。




こんな所でくたばってたまるかよ………っ!





そんなある夜、神様のいたずらってやつなのか……

逃げ出すチャンスが出来た。



その日は、男が一人で部屋に入ってきた。


暴行の最中、男の携帯が鳴り、そのまま慌てて部屋を出ていった。



相当慌てていたんだと思う。



男は部屋の鍵を閉めていかなかった。



これを逃したら二度とチャンスはない。



動かない体にムチを打ち、足を引きずるように部屋を抜け出した。





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