泣いていたのは、僕だった。~零~




珍しく進んで買い出しに行った隆が大量の酒を買い込んできた。



「日本酒、焼酎、ビールに……カクテル系もあるぜ。」


上機嫌で袋から酒を出す隆に対して、創は呆れて溜め息ばかり。



「何もこんなに買わなくてもいいでしょう。」
「いいじゃねーか。余ったら俺が責任もって飲んでやるから。」
「そういう問題じゃないんですけど」
「細かいこと気にすんなって。ほら、つまみもあるぜ。」



スルメにビーフジャーキー、カルパスなどが出てくる。


俺は酒よりこっちの方が興味ある。



「なぁ、食っていい?」
「いいぜ。ガキにはコーラな。」
「ガキって言うな!」



隆の手からコーラを奪い取り、一気に煽った。


炭酸が喉を刺激する。


「旨い!」
「じゃあ俺も。」


と言って隆はビールを手にした。



創はカクテル。


真司は隆と同じビールだ。


三人とも旨そうに飲む。


「なぁ、俺も一口」
「いいぜ、ほら」


隆が差し出したビールの缶を受け取ろうと手を伸ばすと、俺より先に創が缶を奪った。



「ダメですよ。まだ未成年なんですから。」
「少しぐらいいいじゃねーか。」



と言った隆を鬼のような形相で創は睨んだ。




< 43 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop