泣いていたのは、僕だった。~零~
それを見て開きかけていた口を隆は閉じた。
俺も大人しくコーラを飲もうと決意を固めた。
そう言えば真司はと視線を移すと、どこか目の据わった様子。
目が合うとニッと笑いかけてきた。
…嫌な予感しかしない。
「し、真司?大丈夫か?」
「んー?何がぁ?」
笑ったまま、ズイズイと迫ってくる。
当然俺は後退していく。
そして背中が壁にたどり着いた。
「何で逃げるのかな?」
「何でって……反射的に。」
真司の顔が目の前まで迫ってくる。
あ、これはヤバイ!
コイツ………
「ちょっ…ストップ!」
酔うとキス魔になりやがる!
制そうと伸ばした腕を簡単に捕まれ、逃げられない。
もうダメだと目を瞑ると、救いの手が差し伸べられた。
「真司、アナタ悪酔いしすぎですよ?」
「は、創~!」
俺には創が天使様に見えた。
隆はただケラケラ笑ってる。
「ふーん…創くん、邪魔するんだ?」
「当たり前です。翔一が嫌がってるでしょう?」
「……じゃあ、しょうがない。」
真司は肩を落として、俺の手を離した。
そして一瞬の出来事。
誰も制する言葉をかけられなかった。
「―――ん!?」
真司があろう事か、創の唇を奪った。
「んー、ごちそうさま」
満足そうに笑った真司は、バタンと倒れた。
どうやら眠ってしまったらしい。