泣いていたのは、僕だった。~零~
外の世界は夜だというのに眩しかった。
世界はこんなに広いんだ。
俺はなんて小さな存在なんだろう。
どのぐらい歩いたかは分からない。
俺は息も切れ切れに、路地裏に座り込んだ。
自由になった。
これからどうする?
どうもしない。
出来ない。
行く宛など、どこにもない。
空には満月。
いつも小さな窓から見ていた光。
今は視界いっぱいに広がっている。
すげー贅沢。
なんか疲れたな。
……もういいか。
あいつらの目ぇ届かねーし。
俺、充分頑張ったよな。
瞼を降ろし掛けたとき、路地裏の入口に人影が見えた。
男の視線がじっとこちらを見てくる。