泣いていたのは、僕だった。~零~
「理由なんてねーよ。理由付けしねーと来ちゃだめってことか?」
「いえ、そういうわけでは……」
「じゃあいいじゃねーか。」
空になった皿をテーブルに置いて、ソファーの背もたれに体を預ける。
「ま、あえて言うならオムライスが旨かったからだな。」
「そんなもんですか?」
「そんなもんだよ。……俺も一つ訊いて良いか?」
二人して天井を仰いだまま、視線は交わさなかった。
「何で毎回俺なんかの為に飯作るんだ?」
そう訊いた俺に、創はクスクスと笑った。
「理由なんてありません。そうですね……言うならば、アナタが美味しそうに食べるからです。」
「そんなもんか?」
「そんなもんです。」
特別な何かがある訳じゃない。
コイツに何かを感じた訳じゃない。
ただ、
そう、ただ………
単純にオムライスが旨かった。
それだけなんだ。