泣いていたのは、僕だった。~零~
「――隆、てめぇこんな時間まで出歩いてんじゃねぇよ!」
これは俺が中学ん時の話だ。
関東一の極道、櫻井組。
俺はそこの一人息子。
俺はこの家が、大嫌いだった。
「うるせぇよ、じじぃ!口出してくんじゃねぇよ!」
「んだと、おらぁ!それが親に向かって言う台詞か!?あ゙?」
「やんのかよ!?」
「上等じゃねぇか!覚悟しやがれ!!」
櫻井組四代目、つまり俺の親父とはいつも口論を繰り広げていた。
「その辺にしといてくだせぇ、お二方。」
喧嘩の仲裁に入るのは、いつもこの男。
櫻井組若頭、倉 京介(クラ キョウスケ)。
親父が一番信頼している側近だ。
「止めんじゃねぇ、倉!今日という今日はこのクソガキの根性、叩き直してやる!」
「四代目、大人げないですよ。落ち着いてくだせぇ。」
そうだ、そうだと京介に便乗すれば頭に拳が落ちてきた。
「痛っ……」
「いいか!門限はしっかり守れ。守れねぇようなら外出は許可しねぇからな!」
「親父は細かすぎんだよ。ったく………」
「てめぇは自分の立場ってもんを理解出来てねぇ。」