【BL】君が幸せになるのなら
「そんなことないよ。優しい人だ。」
「買い被りすぎだよ。私はね、ズルい人間なんだ。」
「ズルい?」
「そうさ。」
彼は苦笑した。
「ズルくて、欲深い人間なんだ。」
それは自らに諭すような言い方だった。
「そうは思わないけど?」
「そうだね。例えば……私は君だけの幸せを願えない。」
「俺だけの幸せ?」
「そうさ。君が幸せだと感じる時、隣にいるのは私がいいんだ。」
彼は俺の頭を撫でた。
「意味分かるかい?君が幸せになるならって考えで、君を手放せないってことさ。」