<TABOO>もっと見つめて
なぜわかってしまったのだろう。
今朝、彼氏と大喧嘩した。些細な事だったが、最後は意地の張り合いのようなものになってしまったのだ。
愛梨が困惑した表情を浮かべると、貴一がため息をついた。
「面白くないな」
その言葉に顔を上げると、そこにはいつものように、余裕たっぷりで自信に満ち溢れている貴一の姿はどこにもなかった。
眉間と口を歪ませて、まるで拗ねた子供のような顔をしている。
貴一はカメラを持って愛梨に近づいた。
「俺の前で他の男の事を考えるな」
そう言って、再びシャッターを押し始める。