護り人
「モチの手伝い?」

禮人が言う。

家は毎年大量にモチを作り、近所に配っている。

家族だけでは無理なので梨沙や近所の人も手伝いに来て貰っていた。

「うん。今から行くとこ。トトちゃんも暇なら少しは手伝いなさいよ、ほらっ行こう」
梨沙は手を差し出し、禮人はその手を掴んだ。

禮人の家のお寺はおよそ千坪、中心の本堂から左右に廊下が延び、道場や家と繋がり、端に蔵が建っている。

二人は道場から延びている廊下を渡っていると、

蔵前にいる作次郎を見つけた。

「おじさんに挨拶しなきゃ。トトちゃんは先行ってて」

先に行けと言われても親父に余計なことを言われると困るため、禮人は嫌々ついていった。

「おじさん。こんにちは」
「おお、梨沙ちゃんじゃないか。いつも手伝いに来てくれて悪いね」

「私の家族も貰ってるんだし、いいんですよおじさん」

「後ろにいる馬鹿息子は手伝いもせずに素振りなんどして遊んでいるのに、まったく誰に似たやら」


作次郎はため息をついた。
後ろにいた禮人が前に出てくる。
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