音匣マリア
マユさんと言うその人を初めて見た。
お化粧が濃いわけじゃないけど、派手めの顔立ち。パッと見、夜の商売の人かと思ってしまった。
彼女は部屋に上がり込んで来ると、居間のガラステーブルの前にどかっと座って、ポケットから煙草とライターを取り出した。
そして、私に向かっていきなり「灰皿出して?気が利っかなーい」って言ったんだよね。
自分が馬鹿にされたと怒るより、呆気に取られて固まってしまって動けなかった。辛うじて「この部屋には灰皿がないので……」と、反論するので精一杯だった。
「なら空き缶に水少し入れて持ってきてよ。そんなのも知らないの?」
何で一々人を小馬鹿にしたように喋るんだろう?
その頃には女の人の傍若無人さ加減が頭にきていた私は、ビールの空き缶に水を並々と入れて目の前に突き出した。
あんな迷惑な喧嘩を毎日のようにやっておきながら、隣人の部屋に上がり込んで我が物顔でこんな要求するなんて。
でもこの人の非礼はそれだけじゃ終わらなかった。
蓮が戻ってきたら、明らかに蓮に対して色目を使っている。
私がいるのに蓮の腕にさりげなく腕を絡ませてべったりして離れない。
私が蓮の彼女だなんて、見れば分かるよね!?普通彼女が目の前にいる男の人にこんな事する!?
それに、彼女の話にも驚いた。
山影さんとか言う例の彼氏さんとは高校の時から付き合っていて、同い年だそう。ちなみにだけど私とも同じ年だ。
二人とも同じ大学に通う3年生。
その山影さんとの付き合いも長い事から二人で決めて同棲を始めたところ、一緒に住んでみてお互いの嫌なところばかりが目につくようになったんだとか。
その場では一方的にマユさんの話を聞いてたけど、山影さんには山影さんの言い分があるんだろうな。
それに、何となくマユさんは何かを隠しているような気がする。
でも、何でも良いから蓮にベタベタしたり色目使うのだけは止めて欲しい。本当に嫌なんですがね!
「ならさ、アンタ仲良い友達とかいねぇの?大学生ならそのくらいいるんだろ?そいつらんとこ行って相談するか泊めて貰うかすればいいじゃん。何も無理して毎日部屋に帰って来なくても」
蓮も不機嫌そうにマユさんを突き放して、私の隣に座り直した。
そして蓮の手が私の膝に乗せられる。
それだけでも嬉しくて、つい頬を緩めてしまった。
「……トモダチはいっぱいいるけどぉ、そーゆーの相談するようなカンジじゃないんだよね。てか、あたしが相談してんのにイチャイチャしないでよ!?」
……って、マユさんは私を睨みながら言いきった。
友達がいっぱいいるなんて、そこからしてまず嘘じゃない?
こんな事言いたくないけど、性格が悪すぎると思うよ。
お化粧が濃いわけじゃないけど、派手めの顔立ち。パッと見、夜の商売の人かと思ってしまった。
彼女は部屋に上がり込んで来ると、居間のガラステーブルの前にどかっと座って、ポケットから煙草とライターを取り出した。
そして、私に向かっていきなり「灰皿出して?気が利っかなーい」って言ったんだよね。
自分が馬鹿にされたと怒るより、呆気に取られて固まってしまって動けなかった。辛うじて「この部屋には灰皿がないので……」と、反論するので精一杯だった。
「なら空き缶に水少し入れて持ってきてよ。そんなのも知らないの?」
何で一々人を小馬鹿にしたように喋るんだろう?
その頃には女の人の傍若無人さ加減が頭にきていた私は、ビールの空き缶に水を並々と入れて目の前に突き出した。
あんな迷惑な喧嘩を毎日のようにやっておきながら、隣人の部屋に上がり込んで我が物顔でこんな要求するなんて。
でもこの人の非礼はそれだけじゃ終わらなかった。
蓮が戻ってきたら、明らかに蓮に対して色目を使っている。
私がいるのに蓮の腕にさりげなく腕を絡ませてべったりして離れない。
私が蓮の彼女だなんて、見れば分かるよね!?普通彼女が目の前にいる男の人にこんな事する!?
それに、彼女の話にも驚いた。
山影さんとか言う例の彼氏さんとは高校の時から付き合っていて、同い年だそう。ちなみにだけど私とも同じ年だ。
二人とも同じ大学に通う3年生。
その山影さんとの付き合いも長い事から二人で決めて同棲を始めたところ、一緒に住んでみてお互いの嫌なところばかりが目につくようになったんだとか。
その場では一方的にマユさんの話を聞いてたけど、山影さんには山影さんの言い分があるんだろうな。
それに、何となくマユさんは何かを隠しているような気がする。
でも、何でも良いから蓮にベタベタしたり色目使うのだけは止めて欲しい。本当に嫌なんですがね!
「ならさ、アンタ仲良い友達とかいねぇの?大学生ならそのくらいいるんだろ?そいつらんとこ行って相談するか泊めて貰うかすればいいじゃん。何も無理して毎日部屋に帰って来なくても」
蓮も不機嫌そうにマユさんを突き放して、私の隣に座り直した。
そして蓮の手が私の膝に乗せられる。
それだけでも嬉しくて、つい頬を緩めてしまった。
「……トモダチはいっぱいいるけどぉ、そーゆーの相談するようなカンジじゃないんだよね。てか、あたしが相談してんのにイチャイチャしないでよ!?」
……って、マユさんは私を睨みながら言いきった。
友達がいっぱいいるなんて、そこからしてまず嘘じゃない?
こんな事言いたくないけど、性格が悪すぎると思うよ。