総長が求めた光 ~Ⅳ獣と姫~
もしも、あたしが紗世さんの立場だったら安っぽい言葉なんていらない。


「わた、私は‥‥っ。汚いですか‥‥‥っ」


いつかのあたしと、今のサヨさんとサヨさんの言葉が‥‥‥ダブった。


【あたしはっ‥‥汚いっ!!】


嫌な汗が、頬を伝った。


ごくりと生唾を飲み込むけど、うまく喉を通ってくれない。


「汚い人が‥‥‥こんなにも温かい涙を流せますか?」


サヨさんの頬を流れる大粒の涙を指ですくいながら、笑ってみせた。


あなたは、こんなにも綺麗なものを流せる。


あの時の、あたしとは違う。


あなたは綺麗な人だ。


ボロボロと落ちていく涙を、あたしの目が羨ましそうに捉える。


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