総長が求めた光 ~Ⅳ獣と姫~
シュウの冷たい声には、どこか怒気を含んでいた。


「別にあの家を好きになれって言ってんじゃねぇ。ただ、お前の帰るべき場所はあの家であってここは逃げ場にしろって言ってんだ」


「けど、あんな家っ」


「出てけ。話は終わりだ」


ふいっとシュウは顔を逸らして、またベッドに転がった。


ユウコも悔しそうな顔をして、くるりと背を見せる。


ど、どうしたらいんだろうこの状況


あたしがシュウから聴いてることは大まかな部分だけで、2人の間に何があったかなんて、そんな深いところまでは話してくれなかった


あのときのあたしは、きっとシュウの中であたしは話してもいいっていうような存在じゃないのかなって思ってた


サヨさんがあたしを、話してもいいというような存在として認めてくれた時みたいにシュウもあたしをそんな存在だと認めてくれたら話してくれるかなって‥‥自分に都合のいいようにしか考えてなかった


シュウとユウコのことなんて、全く考えてなかった


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