蜜味ファインダー


「そこに横になってみようか。あ、バラの棘には気をつけて」


カメラマンは緊張をほぐそうとしてか、満面の笑みを見せる。


「これ、本物だったんですか」

「当然」

「凄い金額……」


私の現実的な言葉に、声を上げて笑う、彼。


「俺は、偽物は撮らない主義でね」



撮影は順調に進んでいった。ぎこちないながらも、何とか言われるままポーズをこなす。


場所がベッドへと移ると、彼は唐突に「蜂蜜好き?」と訊いてきた。

頷けば、良かった、と微笑む。


< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop