蜜味ファインダー
「そこに横になってみようか。あ、バラの棘には気をつけて」
カメラマンは緊張をほぐそうとしてか、満面の笑みを見せる。
「これ、本物だったんですか」
「当然」
「凄い金額……」
私の現実的な言葉に、声を上げて笑う、彼。
「俺は、偽物は撮らない主義でね」
撮影は順調に進んでいった。ぎこちないながらも、何とか言われるままポーズをこなす。
場所がベッドへと移ると、彼は唐突に「蜂蜜好き?」と訊いてきた。
頷けば、良かった、と微笑む。