浮気は、いいよ。
ホテルで優里が来るのを待つ。
暫くすると、チャイムが鳴った。
ドアを開けると、俯いた優里が立っていた。
「中入って」
「・・・・うん」
優里を招き入れて、とりあえず2人でベッドに腰掛ける。
優里の髪から、シャンプーのいい匂いがした。
「・・・・優里、やる気満々だな。 風呂入ってきただろ」
「・・・・・うるさいな」
優里は真っ赤な顔で向こう側を向いてしまった。
そんな優里を後ろから抱きしめる。
「酷いオンナだよな、優里って。 優里が離婚したら、オレ、優里に告ろうと思ってたんだよ」
優里のいい香りのする髪に顔を埋めた。
「・・・・ソレ、ホント??」
「そのボケ、めんどくさい。 フツー気付くだろ」
「・・・・・ワタシ、フツーの状態じゃなかったから分かんないよ。 自分の事で精一杯なの見てて気付いてたでしょ??」
確かに。
もし『離婚が成立したら付き合って』って言ってたとしたら、何か変わっていただろうか。
「・・・・いいの?? 離婚しなくて」
「・・・・多分、間違ってると思う。 ワタシの出した答えは。 でも、間違えたかったの。 失敗しようと思ったの。 正しい答えを選んでも未練を引きずるくらいなら、とことん間違って後悔したいと思ったの」
きっと、何を言っていたとしても、何も変わっていなかっただろう。
「・・・・・ありがとうね、悠介。 やっぱり悠介じゃなきゃ嫌だった。 ホストとか・・・・やっぱ嫌だった」
優里は、どこまでも残酷だ。