浮気は、いいよ。
21時を過ぎても、幸太郎はウチに尋ねてこない。
なんで??
幸太郎に電話をかける。
「なんで来ないの?? 幸太郎」
「・・・・・ゴメン、沙耶香。 もう沙耶香の部屋には行かない」
それがどういう事なのか分からない程、ワタシは馬鹿でもコドモでもなかった。
「・・・・優里と、離婚したんじゃないの??」
「優里とは、離婚しない」
体中の力が抜けた。
携帯を持つ手が震える。
「・・・・・幸太郎、今ドコにいるの??」
「・・・・家」
「・・・・・優里も一緒??」
優里に一言言いたかった。
『離婚届出すって言ったじゃない』
筋違いもいい所。
そんな事分かっている。
でも、ワタシの怒りは幸太郎ではなく優里に向かっていた。
だってあの時気付いたんだ。
今日の朝、幸太郎は
悲しそうに、苦しそうに、愛しそうに優里に手を握っていた。
幸太郎が愛しているのは、ワタシじゃない。