浮気は、いいよ。
「・・・・・痛い。 背骨が痛い・・・・」
フローリングの上に敷いてある薄いカーペットの上で抱き合ってしまった為、優里が背中を痛めたらしい。
・・・・・が、身体の硬い優里は、痛い所に手が届かない。
「・・・・・今月からオレの小遣い減らして」
優里の背中を擦る。 正直、オレも膝が痛い。
「・・・・なんで??」
「オレ、痛いの嫌。 新しいベッド買おうよ」
「ワタシも働いてるし、別にお小遣い減らさなくても・・・・」
「・・・・・・」
正直、優里には働かずに家にいて欲しい。
でも、『シゴトが楽しい』と言っていた優里に『辞めて』とも言いづらい。
「・・・・・工場って男多いの??」
「んー。 半々くらい??」
「イケメンとかいる??」
「分かんない。 全員マスクしてるから目しか見えないし。 ワタシのグループは女の人しかいないし。 他のグループの人とはお昼休憩も被らないから交流ないし」
・・・・・じゃあ、いっか。
優里もマスクをしてるなら、優里が美人かどうかも他の男には分からないし。
変な虫がつく心配はなさそうだな。
「・・・・・お給料下がっちゃうけど、日勤だけの勤務シフトに変えてもらおうと思ってるんだけど、イイかなぁ??」
むしろ、そうして頂きたい。 でも
「・・・・・なんで??」
「幸太郎の浮気が心配だから」
優里の信用を回復するのは、まだまだ時間がかかりそうだ。