浮気は、いいよ。
幸太郎を押し退けて、トイレに急ぐ。
吐いたところで、出てくるのは胃液だけで。
吐き出せる程のモノなど、ちゃんと食べていないから、それは当然で。
トイレの流れる音で掻き消しながら泣く。
恥ずかしかった。
この後に及んでもまだ、幸太郎を求める執念深さが、恥ずかしくて情けなかった。
離れなきゃ。
別れなきゃ。
『離婚は、不幸なことじゃない』
悠介、ワタシもそう思うよ。
離婚しないことで、幸太郎を締め付けて、沙耶香に我慢をさせて、自分だって傷ついた。
離婚しよう。
自分の為に、離婚しよう。
ワタシは最後まで、自分が1番な最低人間だ。