浮気は、いいよ。



幸太郎を押し退けて、トイレに急ぐ。



吐いたところで、出てくるのは胃液だけで。



吐き出せる程のモノなど、ちゃんと食べていないから、それは当然で。



トイレの流れる音で掻き消しながら泣く。



恥ずかしかった。



この後に及んでもまだ、幸太郎を求める執念深さが、恥ずかしくて情けなかった。



離れなきゃ。




別れなきゃ。







『離婚は、不幸なことじゃない』





悠介、ワタシもそう思うよ。







離婚しないことで、幸太郎を締め付けて、沙耶香に我慢をさせて、自分だって傷ついた。








離婚しよう。









自分の為に、離婚しよう。



ワタシは最後まで、自分が1番な最低人間だ。
< 44 / 159 >

この作品をシェア

pagetop