浮気は、いいよ。
「何、あのメール」
「『ありがとう』を強要していたので」
ワタシのメールが不満だったのか、悠介が工場の前で待ち伏せていた。
いや、違うな。 幸太郎の話をしにきたんだ。
律儀なヤツだもん、悠介は。
「………どうして2人が会う事になったの??」
お互い連絡先を知らないハズだ。
「幸太郎さん、沙耶香にオレの連絡先聞いたらしいよ」
「………沙耶香??」
「沙耶香と電話した時に、ちょっと優里の話したから。 アイツも誤解してたから訂正しといたぞ」
沙耶香とも連絡取り合ってたんだ。
悠介は沙耶香に何もされていない。
悠介が沙耶香を嫌う理由なんか、ない。
勝手に、悠介は自分の味方なんだと思っていた。
沙耶香は昔から男トモダチが多かった。
沙耶香には、男を引きつける魅力がある。
幸太郎も悠介も、どうしてワタシと付き合ってくれたんだろう。
結局、沙耶香を選ぶのに。
悠介、ワタシと誤解されるのが、本当に嫌だったんだな………。
「悠介、いっぱい迷惑かけてゴメンね。 もうダイジョウブだよ。 シゴトも見つかったし、もう1人でダイジョウブ」
「………何ソレ。 用が済んだらポイ捨て?
急に悠介の機嫌が悪くなった。
「ポイ捨てって……。 ヒトをヤリマンみたいに言わないでクダサイ」
「優里が突き放す様な事言うからだろ」
正直、悠介にまで見捨てられるのが怖い。
確かにワタシは、悠介にポイ捨てされる前に自分から離れようと思った。
………でも、ポイ捨てではないだろうに。