浮気は、いいよ。


「気を遣ったつもりが、思わぬ受け取り方されて若干困惑中」



「実況どうも。 じゃあ、ゴハン行くぞ」



何が『じゃあ』なのか分からなかったけど、流れ的に断ってはいけない気がした。


正直、あんまりお金遣いたくない。



給料日はだいぶ先。



「リクエストにお応えして、ケバブ食いに行きますか⁇」



………悠介、しつこい。



流してやる。



「お給料まだ貰ってないので、高いトコには行けません」



「ご馳走しますがなッッ。 オレが誘ったんだし」



素直に有難い。



弁護士費用はかなり嵩むし、引越しにもお金がかかると頭をかかえてたから、周りに『ケチ』と言われ様とも、お金は極力遣いたくない。



「ご馳走様です」



「まだ奢ってない」



「ご馳走になる予定です」



「『ゴチです』でいいだろーが」



こうしてアホなやり取りをしていると、高校時代を思い出す。



楽しかったなー。



ずっと悠介と一緒にいれると思ってた。



自分が別な人と結婚して離婚するなんて思いもしなかった。



悠介のことだから、ワタシに気を遣って重い話は食事が終わってからするのだろう。



ワタシが食べられなくならない様に。



今のうち、笑っておくか。



どうせ泣く羽目になるのだから、笑えるうちは笑って、笑い貯めておく。
< 71 / 159 >

この作品をシェア

pagetop