浮気は、いいよ。
「気を遣ったつもりが、思わぬ受け取り方されて若干困惑中」
「実況どうも。 じゃあ、ゴハン行くぞ」
何が『じゃあ』なのか分からなかったけど、流れ的に断ってはいけない気がした。
正直、あんまりお金遣いたくない。
給料日はだいぶ先。
「リクエストにお応えして、ケバブ食いに行きますか⁇」
………悠介、しつこい。
流してやる。
「お給料まだ貰ってないので、高いトコには行けません」
「ご馳走しますがなッッ。 オレが誘ったんだし」
素直に有難い。
弁護士費用はかなり嵩むし、引越しにもお金がかかると頭をかかえてたから、周りに『ケチ』と言われ様とも、お金は極力遣いたくない。
「ご馳走様です」
「まだ奢ってない」
「ご馳走になる予定です」
「『ゴチです』でいいだろーが」
こうしてアホなやり取りをしていると、高校時代を思い出す。
楽しかったなー。
ずっと悠介と一緒にいれると思ってた。
自分が別な人と結婚して離婚するなんて思いもしなかった。
悠介のことだから、ワタシに気を遣って重い話は食事が終わってからするのだろう。
ワタシが食べられなくならない様に。
今のうち、笑っておくか。
どうせ泣く羽目になるのだから、笑えるうちは笑って、笑い貯めておく。