浮気は、いいよ。
悠介の車に乗ると、悠介はケバブではなかったが焼肉に連れてってくれた。
なんだかんだ焼肉も食べれる様になった。
言う程、ワタシは繊細ではなかったらしい。
案の定、悠介は焼肉中に重い話は一切しなかった。
焼肉を食べ終わっても、その話はして来ず…。
「………幸太郎の話をしに来たんだよね??」
全く話す気配のない悠介に自らふっかける。
「??その話したじゃん」
「サラっとじゃん」
「あれ以上の報告ないし。 つーか、優里とゴハン食いたかっただけで、優里の旦那の話しに来たワケじゃナイから」
悠介はそう言いながら、しきりに自分の息を掌に吹きかけ、口臭を気にしていた。
「車、密室だからなー。 臭かったら言って。 窓開けるから」
「てゆーか、ワタシもおんなじ匂い発してるし」
「確かに」
納得した悠介は車に乗り込むと『まぁ、それでもどうぞ』とガムを手渡してきた。
素直に受け取ると、悠介はワタシに少し微笑んで車を走らせた。
都会でも田舎でもない郊外の景色は、ドコを走っても代わり映えがなく、男と女がドライブをしているというのにロマンチックな空気にもならなかった。
それどころか、家路を急ぐ疲れたサラリーマンを見れば思い出すのは幸太郎の事で。
悠介がワタシに話す事はなくても
ワタシには悠介に話していない事があった。