浮気は、いいよ。
暫くして、落ち着きを取り戻す。
悠介がいるであろう1番近くのコンビニに向かって歩く。
足元がふらつく。
喉が、カラカラだ。
自分でも分かるくらいの脱水症状。
足が止まる。
意識が…………「優里ッッ‼」
途切れかけた時、悠介の声に呼び戻された。
…………危なかった。
「優里!! オマエ、白目剥いてるぞッッ!!」
駆け寄ってきた悠介がワタシの両肩を掴んで軽く揺すった。
・・・・ワタシ、白目剥いてたの??
・・・・ホラーじゃん・・・。
「唇、カッサカサだし。 優里、お飲みなさい」
悠介はワタシの唇を親指でなぞると、おもむろにパックのピングレジュースにストローを突き刺してワタシの口元に近づけた。
悠介に触れられた唇に全神経が集中してしまい、照れのあまり吸う力が出ない。
「・・・おいしいデス」
「・・・・ナンデ今無駄な嘘吐いたん?? ストローの色変わってないじゃん。 全然吸ってないやん」
悠介、目ざとい。
「………どうも、吸う気力がなくて」
恥ずかしくて吸えない。などとは、それこそ恥ずかしくて言えない。
「ウチのばぁちゃん以下だな。 ウチのばぁちゃん、スゲェバキューム力で豪快にラーメンとかすするぜ??」
「・・・・おばあちゃん、何歳??」
「うら若き恩年80歳」
「・・・・そっか」
パワフルそうだな、悠介のおばあちゃん。
でも、さすがに80歳の淑女の吸引力に負けるのはいただけない。
気を取り直して再度ストローを口にくわえる。
・・・・・ダメだ。 なんか、悠介の視線が気になって吸えない。
自意識過剰すぎる。
何、ひとりで気にしてんだか。 いつまで思春期してんだ、ワタシ。
「・・・・飲ませてあげよっか」
悠介はもたもたして一向に飲もうとしないワタシからジュースを奪い取ると、悠介がジュースを口に含んだ。
そして
悠介に後ろ頭を固定されると、
悠介の口からジュースが移動してきた。