浮気は、いいよ。
嫌じゃなかった。
それどころか、このままこうしていたいとさえ思った。
でも。
この気持ちは何なのだろう。
幸太郎と同じことをして心地よさを感じた自分への苛立ち。
それと
「・・・・ワタシと幸太郎を一緒にしないで。 ワタシは幸太郎とは違う」
悠介の胸を押した。
悠介のキスに気持ち良くなってる様なスケベな人間のくせに、『オマエも幸太郎と同じ』と言われているようで腹が立った。
・・・・にもかかわらず
「ごめん、優里。調子乗った。・・・・・嫌だったよな」
そう言って謝る悠介に
『もっと強引にキスを続けてくれれば、悠介のせいにしてもっと出来るのに』
などと言う下衆な考えまでも浮かぶ。
そして
「わかんない」
悠介のキスが全然嫌ではなかったワタシは『嫌だった』とも『そんな事ない』とも言わず
実に曖昧でずる賢い返事をする。
………ワタシの方だ。
ワタシが悠介を保険にしようとしている。
キスをするくらいだ。 悠介はきっとワタシの事は好きじゃないにしても、嫌いではないハズだ。
そして、優しい。
ワタシが独りぼっちになった時、側にいてもらえるように。
平気で悠介の優しさにしがみつこうとする。
ワタシの腹の中は、暗黒で漆黒で真っ黒だ。