それだけ ~先生が好き~


泣き続ける私に、先生は顔を覗き込む。



先生・・・。



「何かあったのか?俺でよければ聞くけど・・・」



先生・・・優しい。


話してもいいのかな・・・こんなこと。



先生を困らせるんだとしたら・・・




ダメだ、そんなの。





「・・・でも次授業はじまっちゃう」



そういってその場を立ち去ろうとした私に、先生は・・・。




「授業なんかより大事だろ。俺でよかったらちゃんと聞くから」




あぁ・・・そっか。


先生はそういう人だ。


生徒が悲しそうにしてれば力になろうとする。


何があっても・・・




誰もいなくなった体育館に、私と先生だけが残った。


ただ私の鼻をすする音だけが響く。


「・・・話せそうか?」


先生がまた心配そうに顔を覗き込む。

泣いて真っ赤な私の顔をを真剣に見つめる先生・・・。


「・・・うん・・・」


「急がなくていいからな。俺もう、この後授業ないし」


先生・・・優しいね。

そうやって安心させてくれるとこも好き。



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