それだけ ~先生が好き~
どうしたらいい?
「おはよう!眠そうな顔してんなぁ」
校門の前に立つ先生は、たくさんの生徒に「おはよう」を言う。
そのときの顔が、すごく好き。
「おはようございます・・・」
眠くてなかなか言葉が見つからず、あくびをしながらそれだけ言った。
「ほら!!早く行かねぇと遅刻になるぞ!」
なんて言って、背中を押してくれた先生。
背中に残った大きな手の感触が薄れないうちに、教室へ向かった。
「あ・・・」
思わず出た言葉。
城田が、廊下で他のクラスの男子と話してる。
城田も私に気づいて笑った。
「よっ!今日は携帯持ってきてねーからなー!」
周りにいる男子が笑う。
城田はいわゆる先生に目を付けられる「問題児」。
しょっちゅう注意されても、なかなか直さなかったのに。
「言っとくけど、気分だからな!別に・・・こんぐらい普通だろ!!」
照れたのか何なのか、城田は髪をぐしゃぐしゃってした。
城田の気持ちが嬉しい。
「そうだよ、普通だよ!あはは、髪ぐしゃぐしゃだよ~!」
ぐしゃぐしゃの髪をした城田が面白くて、笑っちゃった。
「今井さんだっけ?相当こいつ惚れ込んでるよ~」
「恋は人を変えるな~、なぁ、城田!」
みんな話したことないけど、話しやすかった。
城田のおかげ・・・かな?
「お前ら!そろそろ教室入れよ!」
先生が廊下の向こうから歩いてくる。
うわぁ・・・
先生が好きだと城田にばれたんだった。
気まずい。