それだけ ~先生が好き~
朝のことを思い出すたびににやけてしまう私は、萌の「にやけすぎ!」で目を覚ます。
帰り道さえも、嫌な気持ちひとつない。
いつもは泣きながら帰っていたこの帰り道を、こんな気持ちで帰ることができる。
だけど
家に近づいた瞬間、今までの温かい気持ちが一瞬にして消えた。
車
・・・お母さん、帰ってるんだ
心臓が嫌な音を立て始める。
こんな時間に帰ってくるなんて、珍しい。
何かあったのかな・・・
怖い
ドアに手をかけることが出来ない。
震える
先生
嫌な予感が止まらないんだ
先生ならなんて言うかな
「大丈夫だ」って言ってくれるかな
頑張らなきゃ、だめだ。
ドアノブにゆっくりと力をこめる。
鈍い音が響き渡った。