それだけ ~先生が好き~


今までにこんなこと何度かあった。



だけど、今回は・・・


何か違う気がする。


震えが止まらない。



涙すら出ない。



「・・・疲れた」



静かな部屋に響いた、小さな声が私の胸に突き刺さる。




痛い



お母さんの本当の声をはじめて聞いた気がした。



私は動けないまま、何も言えないまま立ちすくむ。


プリントが飛んでいった方だけを見つめるお母さん。





「・・・早くみんないなくなって・・・どこか行って」



ぶつぶつと呟き始めるお母さんを見て、やっと涙が溢れ出した。




「なんで・・・あんな男といなきゃならないの!!」





私の恐怖は、激しさを増す。





先生





先生






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