それだけ ~先生が好き~
「なんでだろうな・・・」
私のすすり泣く声に重なって、先生の声が響く。
「でもさ、俺だって、何でここにいて生きてるのかわからない」
真剣な瞳の先生を見つめてみる。
先生は優しく微笑んでくれた。
私の腕を引っ張って、抱きしめてくれた。
「別に俺がいなくたって地球はいつもどおりにまわるし、世界が終わるわけでもない」
頭をなでながらゆっくりと言い聞かせるように話す先生。
「それに、俺がいなくなったら喜ぶ人間だって・・・いるかもしれないだろ?教師なんて、嫌われる対象だし。だけど・・・」
だけど、ともう一回言って、私と向き合って笑った。
「お前が悲しむだろ?」