それだけ ~先生が好き~
さっきまで瞳に映っていた景色が変わった気がした。
同じ場所のはずなのに。
先生のおかげで、すべてが優しく見える。
「先生、ありがとう・・・本当にありがとう」
何度言っても伝えきれない『ありがとう』を、一生懸命伝える。
「俺、何かした?お礼言われるようなこと言ってないけど・・・」
不思議がる先生がかわいくてたまらない。
先生が好き。
先生はもう一度優しく微笑む。
「お母さんもお父さんも、お前がいらないわけないよ。お互いを嫌いになったとしても、お前はいらなくなんかならないよ」
ねぇ、先生
その言葉がどんなに私を勇気付けてくれるか知ってる?
たとえ根拠のない言葉でも、頑張れるんだよ。