それだけ ~先生が好き~
ドアの前で動けなくなった私を、先生が助けてくれた。
私の後ろに立って、ドアを開けてくれた。
「ドア、重いなぁ。俺のクラスのも重いけどな!」
ドアを開けたら、涼しい風が吹いてきた。
秋の始まり。
「・・・先生!ありがとうございました!頑張るね」
泣きそうな顔を必死に笑顔で隠す。
そうしていないと、自分が崩れてしまいそうなくらい辛いから。
でも先生には、通用しなかった。
ガシャンッ!
せっかく開けたドアを勢いよく閉めてしまったのは、先生。
先生にぎゅって抱きしめられた。
今までにないくらい、強く強く抱きしめてくれた。
「頑張れよ。絶対に・・・大丈夫だから。俺がついてるから」
その言葉に、また涙がでそうだよ。
本当にありがとう。
自分から開けたドア
重くて分厚いドア
大丈夫。
先生がいるから。
私は家に向かって走った。