それだけ ~先生が好き~


早く先生に会いたくて、思わず早足になる。



案の定・・・予想していたよりもずっと早く着いた。


誰もいない教室にかばんを置いて、教科書を机に押し込んだ。

なかなか入ってくれなくて、もどかしい。

そんなに焦らなくてもいいのにね。




職員室へ行く道のりがすごく好き。


だって、先生に会える道のりだもん。

朝・・・だから、忙しいかな??


放課後話す約束をするだけでもいい。

顔から笑みがこぼれる。



会いたい!!




「失礼しまぁす・・・」


朝の職員室は、夏休みの部活以来。


一番手前の席に・・・先生を見つけた。


私が職員室に入ると同時に、立ち上がってこっちに来た。


ニコニコしている私を見て、先生は一緒に職員室から出た。



「・・・おはよう。その顔は、話すこといっぱいありそうだな!」



一歩前を歩いていた先生が立ち止まって振り向いた。


人気のない美術室前の廊下は静かで落ち着く。



「おはようございます!!あ、時間大丈夫?朝だから・・・忙しいよね」



焦って早口になってしまう私に、壁にもたれて腕組みをした先生が頭をなでる。



「そんなに焦るなよ!まぁ、確かに暇ではないけど。元気そうでよかった。放課後、ゆっくり話すか?」


「うん!いっぱい話したいことあるから!楽しみにしてるね!!」


優しい笑顔でもう一度頭をなでてくれる先生が好き。





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