それだけ ~先生が好き~


私は思っていたことを口にするのは初めてだったかもしれない。


いつも人に合わせて、嫌われないように、嫌われないようにってそればっかり気をつけていたから・・・



静かな体育館の中で


私は泣きながら先生に話した。


自分の思っていることを素直に、隠さないで言えた。


正直、先生がどんな反応をするのか怖くて仕方がなかった。

本音を話すことが怖くて仕方がない私は

喋ることにさえおびえる私は

臆病者・・・




「そっかぁ・・・」


先生は・・・ゆっくりと話し終えた私に喋りかける。

「なんか・・・上手くいえないけど・・・辛かったんだな」


先生はそういうと、私の頭に手を置いた。


先生の目を見たら、先生も私を見てた。


先生の目は、大きくて透き通る目。


その目で私はどんな風に見えるのだろう。



「俺は・・・何にも出来ないけど、話聞いてやることぐらいしか・・・出来ないけど。辛かったら辛いって言ってくれれば、聞くからさ。いつでも」



先生は・・・先生は、優しい笑顔で・・・


私の大好きな笑顔で

欲しかった言葉をくれた


ずっと



本音を話せる誰かがいて欲しかったの



辛いときに話を聞いてくれる誰かがいて欲しかったの



先生・・・ありがとう





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