それだけ ~先生が好き~



足元がおぼつかない。



まっすぐ歩くことが精一杯の出来ること。




やっと帰りたいと思えるようになった家へ向かう。




先生の、おかげだった。



全部、全部。




どうして私はこんなにばかなんだろう。







先生の言葉が、頭に響く。




「病気で亡くなった」




驚いて声を出さず、教室から去っていった私を、先生はどう思った?


先生は優しいから責めたりしないんだ。

そう、優しいから

優しいから・・・



ごめんね




先生、辛かったよね



自分のことで、生徒達のことで、いっぱいいっぱいだったよね




それなのに



それなのに、私は



自分のことばっかりだ






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