それだけ ~先生が好き~
誰も帰っていない、真っ暗な家。
いつの間にか陽が落ちていた。
先生と話していたときは、あんなにも明るくきれいな夕日が差していたのに。
今はこんなに真っ暗。
電気をつけるのも面倒。
そのまま、階段をのぼる。
「・・・あっ」
ドタッ
階段につまづいて転んだ。
真っ暗で足元が見えなかったから、踏み外してしまったみたい。
座り込んだまま目を閉じたら、先生が浮かんだ。
『大丈夫か?張り切りすぎだな~』
転びそうになった私を受け止めてくれた力強い腕は、今はない。
先生
『俺でよければ話してくれよ』
『そんなに辛いんなら、気づいて欲しいよな』
『お前のよくないところは、考えすぎるとこ!』
『お前が悲しむだろ?』
『よく頑張ったな』
ごめんね
優しい先生しか浮かんでこない。
ずっと、辛かったよね。
私を好きだということすら、辛かったのかもしれない。
先生
ごめんね
泣いてばかりで、ごめんね