それだけ ~先生が好き~
学校に来て、城田が話しかけてくれた。
「・・・どうした?目・・・腫れてんぞ」
城田の「どうした?」と先生の「どうした?」が似てる気がした。
二人とも、よく言うんだ。
顔を覗き込んで、「どうした?」って。
優しいから、心配してくれるの。
だけど・・・今日は、何も言えない。
これ以上いろんな人に迷惑をかけたくない。
迷惑をかけるぐらいなら、ひとりでいい。
「・・・なんでもないから」
本鈴がなって、それでも城田が離れない。
これ以上、私といちゃだめだよ。
みんなに迷惑かけるから・・・
私は席を立って廊下を走った。
後ろから「今井!」て叫んでる城田の声。
振り返れないよ。
廊下のかどを曲がったら、何かにぶつかった。
安心する、このタバコのにおい。
これは・・・
「おぉ、おはよう。もう本鈴なったぞ、教室・・・」
先生の顔を見上げた・・・私の泣き顔。
先生の言葉を聞き終わらないうちに、何も言わずに走った。
先生は追いかけてこないよ。
追いかけてきちゃいけないんだよ。
これからHRでしょ?
頑張ってね。
私は、やっぱりだめだ。
先生がシアワセに笑ってるんならそれでいい。