それだけ ~先生が好き~


走り出した足が止まらなくて、止まりたくなくて。


気が付けば、外に出ていた。


HR中だから静か。

風が髪を舞い上げて、涙でぼろぼろの顔をさらす。


青い空が私をあざ笑っている。



『お前はばかだから、優しい人ばかりを傷つけるんだ』



心の中で自分を責める。


だってそうだよ。

先生を巻き込んで傷つけているのは私。

過去のことだって、聞かれたくないはずなのに。



自分のことしか考えていない私は、先生の気持ちがわからないの?


それに気づけないと、独りぼっちになるんだよ。



せっかく見つけた、宝物。



私の本当の気持ちをわかってくれる唯一の人。


先生だから言えた本音。


弱い私を見つけてくれた。




それなのに




どうして私は先生に迷惑ばかりかけるの?








汚いね、私は。









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