それだけ ~先生が好き~
「なんで、こんな風になんだぁ?そんなに覚えてないか?」
先生は笑いながら、私に柔道着を着せる。
わぁ・・・
私、今顔が真っ赤・・・。
だって、先生が私に柔道着着せてるんだよ。
まじめな顔して・・・私の帯結んでる。
うわ・・・かっこいい。
タバコのかすかな香りが私をもっとドキドキさせる。
「こうやって、腰の辺りに帯を一周させて・・・縦にならないように結ぶ!」
みんなに説明しながら、帯を引っ張る。
あっという間に着せてもらった。
この柔道着・・・脱ぎたくない。
みんなの列に戻っていく私は満面の笑み。
えへへ。
好きだな。
「じゃ、怪我しないようにどんどん受け身とってください!」
先生の声と共に、みんなが受け身を取り始める。
パイプイスに座って、「今のよかった」って言う先生の顔を目に焼き付ける。
ほめられたのは、城田。
「当たり前じゃねーか!」なんて言って、本当は嬉しいくせに。