それだけ ~先生が好き~
先生の授業はすぐに終わる気がする。
数学や国語は永遠に続く気がするのに・・・。
授業終了5分前、先生が全員を集めて号令をかける。
早すぎ・・・!
何時間あったってたらないけど。
「次回からは本格的に投げ技に入るので、受け身をしっかりとらないと怪我するぞ。城田、お前は側転なんてしなくていいんだよ!」
みんなが城田を見て笑う。
私も・・・笑っちゃった。
「うるせ!受け身もとってただろ!」
城田は脱いだ柔道着を投げて、照れ隠し。
「おら、投げるな!じゃぁ、今日はこれで終わります。号令お願いします」
名残惜しいけど、仕方なく柔道着を脱いでたたんだ。
嬉しかったな。
朝泣いていたのが嘘かのように晴れ晴れしい気分。
まだすっきりしたわけじゃないけど、ちゃんと話そう。
先生はきっと全部わかってくれる。
職員室に戻っていく背中を見つめた。
あの背中に背負っているものを、受け止めたい。
わがままな自分を受け止めてもらったように、私も先生の過去を受け止めたいよ。
こんな私だけど
先生のためならなんだってするよ