それだけ ~先生が好き~



「失礼します」



いつもより少し大きい声で、職員室に入る。


手前の席にいる先生と目があった。



いつもみたいに・・・右腕を上げて、おいでおいでってしてる。


それだけのことが胸をきゅーってさせる。





「じゃ、行くか」


二人で職員室を出た。


先生の少し後ろを歩く私の足は震えてる。



怖いんじゃない。


自分でもわかんない。


なんでこんなにも、泣きそうなの?



いつも喜んでたことじゃん。



先生、振り向いて。


振り向いて、笑って冗談言ってよ。



隣を歩くことができない。



一歩を踏み出せない私がいる。



前は先生が私にあわせて隣を歩いてくれた。



今度は・・・



自分から、動かなきゃ。



いつまでも甘えてちゃだめ。





先生の隣・・・歩きたい。






< 156 / 522 >

この作品をシェア

pagetop