それだけ ~先生が好き~
「失礼します」
いつもより少し大きい声で、職員室に入る。
手前の席にいる先生と目があった。
いつもみたいに・・・右腕を上げて、おいでおいでってしてる。
それだけのことが胸をきゅーってさせる。
「じゃ、行くか」
二人で職員室を出た。
先生の少し後ろを歩く私の足は震えてる。
怖いんじゃない。
自分でもわかんない。
なんでこんなにも、泣きそうなの?
いつも喜んでたことじゃん。
先生、振り向いて。
振り向いて、笑って冗談言ってよ。
隣を歩くことができない。
一歩を踏み出せない私がいる。
前は先生が私にあわせて隣を歩いてくれた。
今度は・・・
自分から、動かなきゃ。
いつまでも甘えてちゃだめ。
先生の隣・・・歩きたい。