それだけ ~先生が好き~
体育館から響くボールの音、掛け声。
それに背中を押されるように・・・大きく一歩踏み出した。
先生の隣に並んだ。
たいしたことじゃない。
だけど、涙が溢れる。
隣。
温かい笑顔が、私を包む。
先生の・・・笑顔。
静かな廊下。
「先生・・・好き」
下を向かず、先生を見て言った。
線、越えれたかな?
ひとつ大人に・・・近づいた?
ねぇ、先生。
「・・・俺もだよ」
相談室、着く前に言っちゃったね。
二人で笑いながら、相談室の重いドアを・・・二人で開けた。
不思議だね。
二人でだと、重く感じないよ。