それだけ ~先生が好き~



ずらっと並んだパイプイスに座る。


先生が優しく微笑んだ。



「俺、一応職員室で待ってたんだ。お前もしかしたら来るかなって。相談室の前で待ってろって言ったけど・・・やっぱり来たな!」



あ、そういえば・・・。


冷静なようで・・・気づかないところで、早く会いたいって思ってた。


待ってなんていられないよ。



「そうだっけ?だって、会いたかったんだもん・・・」


言いながら照れてしまう。


「おぉ?そっか。俺も会いたかったよ」


頭にポンッて手をのせてくれた。


その感触が・・・心地よかった。


さっきのぶんまで、涙が出る。



窓の外からの太陽の光と、私の涙で先生が見えない。


だけど、わかるよ。




「あ~、よしよし。今日は・・・全部話すから。辛い思いさせたよな。ごめん。でもな、最初に言っとく。俺が好きなのは、今井ゆき。お前だからな!」




先生もやっぱり全部話してくれる。


私は泣いてばかりじゃだめ。


先生が私を救ってくれたように・・・今度は私が先生を手伝いたい。




「うん・・・ありがとう・・・わたし、も。全部・・・話すね」

「はは・・・うん。ありがとな。俺から、話していいか?」

「・・・うん、話してください。どうぞ」



真面目な顔した先生が、私をまっすぐ見る。



もう怖くない。



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