それだけ ~先生が好き~


少しずつ、時に感情的になりながら・・・話した。



今日なんで泣いて先生にぶつかったのか。


その間何をしていたのか。


先生に彼女が亡くなったといわれたときの気持ち。


すぐ悪い方へ考えを持っていくことも。



涙で先生の顔は見えないけど、優しい顔をしている気がする。



「うん」っていう相槌が、ひとつひとつ受け止めてくれているようで、安心する。



「本当・・・ごめんなさい。心配ばっかり・・・かけて」



話を終えた私は、セーターの袖で涙を拭った。



「なんで、謝るの?いいよ。俺が勝手に心配してんだから」



そんな優しい言葉言われると、離れたくなくなっちゃうよ。


帰りたくないよ・・・。



「人には悪いとこって必ずあるんだからさ、それに気づけただけでも今は十分だよ。それを今から直してけばいいんだから」


「そうかな・・・じゃぁ、頑張らなきゃね」


窓を眺めたら、もう暗くなり始めていた。


あぁ、帰らなきゃな・・・。



「そろそろ暗いな。・・・離れたくないなぁ」



先生も、そんなこと思うんだ。


なんか可愛い。



「先生も、離れたくないって思ったの?」


「当たり前だろぉ!愛する今井との時間を終わらせるなんて・・・」



愛する・・・?



もう・・・おかしくなりそう。




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